特許出願中の建築物外壁材・冷却システム「CoolSkin®」について、福岡大学との第一段階実証実験を行った結果、通常条件と比較して内壁の外側で4.50℃、内壁の室内側で最大4.66℃、断熱材室内側で1.86℃、室温で1.71℃低い測定結果が確認されました。
CoolSkin®は現在も研究開発段階です。
今回の結果だけで性能を断定するのではなく、今後は反復試験、実建物での検証、空調負荷、消費電力量、水使用量、ランニングコスト、耐久性、安全性等まで検証し、社会実装を目指します。
福岡大学との共同研究が「結果を測る段階」へ

セイコー・エステート&ディベロップメントでは、建物外壁から暑熱環境にアプローチする次世代冷却システム「CoolSkin®」の研究開発を進めています。
2026年5月に特許出願を発表し、その後、福岡大学との産学連携による共同研究を開始しました。
共同研究開始時点では、CoolSkin®の効果を断定するのではなく、
- 外壁温度はどこまで変化するのか
- 建物内部への熱の伝わり方はどう変わるのか
- 水使用量はどの程度必要なのか
- 耐久性や安全性に問題はないのか
- 実建物へ施工できるのか
などを一つずつ客観的に検証する方針としていました。
今回、その第一段階となる測定結果がまとまりました。
第一段階実証実験の測定結果
通常条件とCoolSkin条件の最大時の測定値を比較した結果は以下の通りです。
| 測定箇所 | 通常条件 | CoolSkin条件 | 差 |
|---|---|---|---|
| 内壁の外側 | 40.73℃ | 36.23℃ | 4.50℃低い |
| 内壁の室内側 | 39.34℃ | 34.68℃ | 最大4.66℃低い |
| 断熱材室内側 | 25.38℃ | 23.52℃ | 1.86℃低い |
| 室温 | 23.39℃ | 21.68℃ | 1.71℃低い |
最大の差が確認されたのは「内壁の室内側」で、
通常条件39.34℃
CoolSkin条件34.68℃
となり、4.66℃の差が確認されました。


最大4.66℃だけではない。室内方向の複数箇所で温度差
今回の測定結果を建物の外側から室内方向へ見ると、
内壁の外側 4.50℃
↓
内壁の室内側 4.66℃
↓
断熱材室内側 1.86℃
↓
室温 1.71℃
と、複数の測定ポイントでCoolSkin条件が通常条件より低い値を示しています。
今回の研究で当社が重視しているのは、「最大4.66℃」という一つの数字だけではありません。
外壁側へのアプローチが、建物内部へ向かう熱の伝わり方にどのような影響を及ぼすのか。
そこを今後さらに精緻に検証するための第一歩だと捉えています。
今回の結果をどう読むべきか
今回の結果は第一段階の試験条件下で得られた測定値です。
本結果だけをもって、
「どのような建物でも4.66℃下がる」
と結論づけるものではありません。
今後は、
- 試験条件の統一
- 反復測定
- 温湿度条件を変えた比較
- 屋外環境
- 実建物
などで再現性を検証していく必要があります。
研究開発において重要なのは、良い結果だけを発表することではなく、条件と限界を明らかにしながらデータを積み重ねることだと考えています。
CoolSkin®の基本的な仕組み

CoolSkin®は、水が蒸発するときに周囲から熱を奪う蒸発冷却を活用し、建物外壁の温度上昇を抑えることを目指すシステムです。
現在想定している構成には、
- 給水
- 水分拡散
- 蒸発冷却
- 透湿・防水
- 背面通気
- 温度・湿度等のセンシング
- 給水制御
などが含まれます。
水を多く流せばよいという考えではありません。
必要なときに必要な量だけ給水し、温度低減効果と水使用量をどこまで最適化できるかも、実用化に向けた重要な研究テーマです。
4.66℃で終わらせない。次はエネルギーとコストを測る

第一段階で確認したのは「温度差」です。
しかし社会実装するためには、それだけでは足りません。
今後は、
温度
↓
室内熱環境
↓
空調負荷
↓
消費電力量
↓
電気料金
という影響を検証する必要があります。
さらにCoolSkin®は水を使うため、
水使用量
↓
水道料金
も検証対象です。
最終的には、
電気代の削減効果 − 水使用量・維持費
まで含め、
「建物全体として合理的な技術なのか」
を判断できるデータを取得することを目指します。
次段階の検証テーマ
- 室内熱環境
- 空調負荷
- 消費電力量
- 水使用量
- 電気代・水道代
- CO₂排出量
- 耐久性
- 安全性
- 結露リスク
- 施工性
- メンテナンス性
- 実建物での検証
なぜ不動産・建築会社が研究開発を行うのか

セイコー・エステート&ディベロップメントは、福岡を中心に不動産開発、新築アパート投資支援、建築設計施工などを行っています。
私たちは、
土地を選び、
建物を企画し、
設計し、
施工し、
完成後も使われ続ける建物をつくります。
だからこそ、既存の建築技術を使うだけではなく、
これから必要になる建築技術そのものを研究すること
も建築・不動産会社の役割の一つだと考えています。
CoolSkin®はその考え方から生まれた研究開発プロジェクトです。
実用化できればLEGENDEなど自社建物への導入も検討

当社では福岡発の投資用新築アパートブランド「LEGENDE」を展開しています。
CoolSkin®について、
- 性能
- 安全性
- 耐久性
- 施工性
- メンテナンス性
- 経済性
を十分に検証し、実用化できる水準に到達した場合には、LEGENDEをはじめとする自社企画建物への導入も検討していきます。
「新技術だから導入する」のではありません。
数字で確認し、建物所有者・入居者にとって意味があることを確認した技術を、実際の建築へつなげる。
そこまでがCoolSkin®の研究開発です。
CoolSkin®開発ロードマップ

発想
↓
特許出願
↓
福岡大学との産学連携
↓
第一段階実証実験
↓
建物内部側で最大4.66℃の温度差を確認
↓
空調・電力・水使用量・耐久性等を検証
↓
実建物での実証
↓
社会実装
今後の研究について

第一段階実証実験によって、CoolSkin条件と通常条件の間に温度差が確認されました。
しかし、研究はここからです。
これからは、
「冷えるのか」から、
「社会で本当に使えるのか」へ。
福岡大学をはじめとする研究機関や企業との連携を続けながら、客観的なデータを積み重ね、実際の建築へつながる技術へ育てていきます。
共同研究・技術提携・実証実験について

セイコー・エステート&ディベロップメントでは、CoolSkin®の社会実装に向け、
- 大学・研究機関
- 建材メーカー
- 外壁材メーカー
- センサー・IoT関連企業
- ゼネコン
- 設計事務所
- 工場・倉庫・商業施設の所有者
- 自治体・公共施設関係者
- 実証フィールド提供企業
などとの共同研究・性能試験・技術提携等を検討しています。
よくある質問
いいえ。現在は特許出願を起点に、研究開発・性能検証・社会実装に向けた実証を進めている段階です。
第一段階実証実験における「内壁の室内側」の最大時の比較で、通常条件39.34℃、CoolSkin条件34.68℃となり、4.66℃の差が確認されました。
今回の試験条件では、通常条件23.39℃、CoolSkin条件21.68℃となり、1.71℃低い測定結果でした。
現時点では、CoolSkin®による電気料金削減効果は確認していません。今後、空調負荷、消費電力量、水使用量、ランニングコスト等を検証する予定です。
現時点では研究段階です。実用化に必要な性能・安全性・経済性等が確認された場合、将来的な導入を検討します。

